ビルトンの香りをつくる、コリアンダーの話
ビルトンを作るとき、欠かせないスパイスのひとつがあります
コリアンダーです
日本で「コリアンダー」と聞くと、パクチーの独特な香りを思い浮かべる方も多いかもしれません
でも、ビルトンに使うのは葉ではなく、その種であるコリアンダーシード
同じ植物なのに、香りはずいぶん違います
パクチーとは少し違う香り
コリアンダーシードは、葉のような青々とした強い香りではなく、もう少し穏やかで温かみのある香りが特徴です
少し柑橘を思わせる爽やかさと、ほのかな甘さ
粒のままでは控えめですが、砕いた瞬間にふわっと香りが広がります
ビルトンを作っていると、この香りが工房に広がる瞬間があります
個人的にも好きな工程のひとつです
なぜ、ビルトンにコリアンダーなのか
コリアンダーシードは、南アフリカの伝統的なビルトンに古くから使われてきた代表的なスパイスです
牛肉の力強い旨みに、コリアンダーの爽やかな香りが重なることで、味わいに奥行きが生まれます
そこにブラックペッパーの刺激や、酢のほのかな酸味が加わる
どれかひとつが強く主張するのではなく、それぞれが牛肉の味を引き立ててくれます
このバランスが、ビルトンらしい味わいをつくっています

シンプルだから、香りを大切に
ビルトンの材料は、とてもシンプルです
牛肉、塩、酢、そしてスパイス
だからこそ、一つひとつの素材が仕上がりに与える影響は小さくありません
カルービルトンも、肉そのものの旨みを大切にしながら、コリアンダーやブラックペッパーの香りが自然に残るように仕上げています
味を重ねすぎるのではなく、牛肉のおいしさを引き出すためのスパイスとして
それが、私たちが考えるビルトンの味です
次に食べるときは、香りにも少し注目を
ビルトンを口に入れたとき、最初に感じる塩味や肉の旨み
そして噛んでいるうちに、少しずつ広がってくるスパイスの香り
その中には、この小さなコリアンダーシードの存在があります
普段は主役になることのない、小さな一粒
でも、それがなければ少し物足りない
次にビルトンを食べるときは、ぜひその香りにも少しだけ注目してみてください